業界トピックス

TOPICS

拡がる機能性表示の可能性

  3月26日に機能性表示食品の届出等に関するガイドラインが改正されました。昨年に続き4回目となった今回の改正では、軽症者が含まれたデータ(軽症者データ)の取扱いに関する考え方が追加されています。

  そもそもこの機能性表示食品制度の示す「臨床試験(ヒト試験)」とは、特定保健用食品制度における「ヒトを対象とした試験」と同意であり、「特定保健用食品の表示許可等について」(平成26年10月30日付 消食表第259号消費者庁次長通知)の別添2「特定保健用食品申請に係る申請書作成上の留意事項」に示された試験方法に準拠することが原則となっています。その為、軽症者データの取り扱いについても、同留意事項に示されている7領域(コレステロール関係、中長期的な血中中性脂肪関係、食後の血中中性脂肪の上昇関係、血圧関係、食後の血糖上昇関係、体脂肪関係及び整腸関係)に限り、例外的に認められていました。今回の改定において、そこへさらに2領域(鼻目のアレルギー反応関係、中長期的な血清尿酸値関係)が加えられ、これらについても例外的に軽症者データの使用が認められることになりました。つまり、科学的根拠として「健常者および軽症者」を対象に実施された臨床試験においても層別解析などの手を加えずに結果をそのまま使用できることになり、よりその食品の効果を示すハードルが低くなったと言えるのです。

  さらに今年は新規性のある機能性表示が続々と受理されています。コラーゲンペプチド(GPHyp)を関与成分とした「膝関節の違和感(摩擦音)を軽減する」、ロダンテノンBを関与成分とした「糖化ストレスを軽減することにより肌の潤いを保持する」など、これらは臨床試験の実施により受理されています。中でも目を引くのは、黒ショウガ由来5,7-ジメトキシフラボンおよび黒ショウガ由来5-ヒドロキシ-7-メトキシフラボンを関与成分にした「自転車運動をサポートする」という表示です。通勤手段として「自転車」を選択肢に入れることが珍しくない今日この頃、この表示を目にしたサラリーマンはきっと商品を手に取るでしょう。しかもこの表示はSR(システマティックレビュー)での評価、つまりコストのかかる臨床試験の実施ではなく、既存の文献の収集、精査にて評価されているのです。

  前述の軽症者データ使用領域の緩和により、機能性表示の可能性が一段と拡がりました。「自転車運動をサポート」など、見落としがちな潜在的ニーズに対し、SRで評価を実施するには、臨床試験受託機関や研究者の専門スキルが必要であることは間違いありません。 新規性のある表示は今後もますます増えることが予想されます。