業界トピックス

TOPICS

食品表示に関する消費者意向調査報告書について

 消費者庁が5月31日に公表した、2017年度「食品表示に関する消費者意向調査報告書」において、機能性表示食品の現在摂取率が9.9%であったことが明らかになりました。

 この報告書は、今年1~2月にかけて、全国の15歳以上の一般消費者を対象に、食品表示制度の理解・活用状況、課題、要望などの調査結果になります。 「保健機能食品」の現在の摂取率に関する問いに対し、「現在摂取している」と回答したのは、栄養機能食品で9.8%、特保では15.2%となり、前年度調査での、10.2%、18.0%から低下を示しました。一方、機能性表示食品では、16年度、17年度ともに、9.9%となり、摂取率を維持した形となっています。
 また、「以前摂取していたが、今は摂取していない」と回答したのは、栄養機能食品で16.9%、特保で25.5%、機能性表示食品では15.0%となり、特保の現在摂取率の低下と合わせ、消費者の特保離れが懸念されます。 さらに、「摂取したことはないが、今後摂取してみたい」と回答したのは、栄養機能食品で35.2%、特保で27.5%、機能性表示食品では36.8%となり、消費者の機能性表示食品に対する期待度が高まっていることが窺えます。飛ぶ鳥落とす勢いの機能性表示食品が、特保を射程圏内に捉えつつあると言っても過言ではないでしょう。

 この調査では、食品表示制度への理解度、保健機能食品の認知度も調査されています。食品表示制度への理解度に関する設問では、一番歴史の長い特保が32.3%と最も高く、次いで栄養機能食品で15.3%、機能性表示食品で8.1%と続きます。いずれも消費者の理解度は低く示されましたが、施行されてからの期間に比例しており、妥当な結果とも言えます。
 また、保健機能食品の認知度においては、栄養機能食品15.3%、特保29.6%、機能性表示食品15.8%と、テレビCMや広告の影響を大きく受ける特保の認知度が、依然として高く示されました。しかし、施行後わずか3年の機能性表示食品が、17年の歴史を持つ栄養機能食品を上回る認知度を示したことは、興味深い結果となっています。

 今回の調査報告書で、食品表示制度への理解度、保健機能食品への認知度の低さが浮き彫りになりました。今後、国はどのような対策をとるのでしょうか。
 食生活の偏りから罹る生活習慣病や歯止めの効かない少子高齢化により、医療費は増大を続けています。救世主として投入した機能性表示食品に期待するのは、国も消費者も同じです。

 今後、各企業のマーケティング戦略も大きなカギとなります。研究への投資も含め、消費者によりわかりやすい表示を示すことができれば、さらなる販売増進、常飲者の拡大へと繋がることになるでしょう。