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機能性表示食品「事後チェック指針」運用開始

消費者庁は、機能性表示食品に対する透明性確保のため、「事後チェック指針」を策定。4月1日から運用を開始する。以下、「第1 機能性表示食品の科学的根拠に関する事項-科学的根拠として明らかに適切とは考えられない具体例」について抜粋。

(1)最終製品を用いた臨床試験(ヒト試験)及び研究レビューに共通する事項

ア) 届出資料において、表示する機能性に見合ったリサーチクエスチョンは設定されているが、表示の内容が、科学的根拠の内容に比べて過大である、又は当該根拠との関係性が認められない場合

【例】
・主要アウトカム評価項目において表示する機能性についての有意な結果が得られていないもの。
・表示する機能性について、主要アウトカム評価項目が複数設定されている場合であって、一部のアウトカム指標で有意な結果が得られているが他のアウトカム指標では有意な結果が得られていないときに、その関連性を踏まえた説明がされないもの。

イ) 限定的な条件下での結果であり、条件を限定しない場合には特定の保健の目的が期待し難いと考えられる結果であるにもかかわらず、表示の内容では当該条件に何ら言及していないもの。

ウ) 根拠論文が撤回され、機能性表示の科学的根拠となる査読付き論文が存在しなくなった場合。

エ) エキス及び分泌物に含有される特定の成分を機能性関与成分としているものであって、当該特定の成分のみでは表示する機能性を根拠論文等により合理的に説明できない場合。

オ) エキス等を機能性関与成分とする場合において、指標成分が機能性関与成分たるエキス等との同等性を確保できることについて、合理的に説明できない場合。

カ) 根拠論文の対象者の一部に疾病に罹患している者が含まれる場合に、適切な層別解析がなされず、疾病に罹患している者が除外できていない場合。(ガイドラインの例外的に軽症者を除く。)

(2)最終製品を用いた臨床試験

ア) 試験の実施計画又は実施方法に不備がある場合。
【例】
・臨床試験の計画が、ガイドラインに規定する登録システムに事前登録されていない場合。(1年を超えない日までに開始された研究を除く。)
・UMIN 臨床試験登録システム等への事前登録後に、機能性の実証に係る項目(主要アウトカム評価項目、副次アウトカム評価項目、試験デザイン、介入、適格性、統計解析方法等)に関して適切な手続を経ずに実質的な変更を行った研究である場合。
・倫理審査委員会の承認を受けていない場合。
・プラセボ食等を摂取する対照群が設定されていない場合。
・介入群に評価指標が高値又は低値の者が恣意的に割り振られている等、介入群と対照群で適切な参加者の割り付けが行われていない場合。

イ) 試験結果の評価に不備がある場合
【例】
・主要アウトカム評価項目における介入群と対照群の群間比較で統計的な有意差(5%)が認められていない場合。
・評価指標について、当該分野の学術的なコンセンサス等の観点から当該機能性を評価する指標として合理的な説明がされない場合。
・評価指標に主観的な指標を用いる場合、日本人への妥当性が得られたものであり、かつ、当該分野において学術的に広くコンセンサスが得られたものであることについて合理的な説明がされない場合。

(3)最終製品又は機能性関与成分に関する研究レビュー

ア)研究レビュー結果の客観性・透明性を担保するために必要な資料について下記の情報等に関し客観性・透明性が担保されない場合。

【例】
・論文の検索条件や採択
・不採択の論文情報等、結論に至るプロセス
・当該研究レビューにおけるスポンサー、共同スポンサー(研究の発案、運営及び資金の全て又はいずれかに責任を負う個人、企業、研究機関又はその他の団体)及び利益相反に関する情報
・出版バイアスの検討結果

イ) 研究レビューで採用した論文(臨床試験(ヒト試験)の内容(試験デザイン、試験方法、対象者、結果の評価等))について不備がある場合
【例】
・RCT(ランダム化比較試験)で表示する機能性を支持する査読付き論文が1報もない場合。
・表示する機能性に見合ったアウトカムを適正に研究レビューへ反映せず、肯定的な結果のみを恣意的に選出している場合。

ウ)研究レビューにおける成分と届出食品中の機能性関与成分との同等性が担保されない場合。
【例】
・研究レビューで評価した成分(エキス等を含む。)と届出食品中の機能性関与成分の同等性(含有量、フリー体又は塩若しくはエステル体等の別、基原を表示する場合にはその基原、エキス等の場合は抽出方法や製法等)が合理的に説明されない場合。
・研究レビューで有効性が確認された量よりも届出食品中の機能性関与成分の含有量が少ない場合。(ガイドラインに基づき機能性が報告されている一日当たりの機能性関与成分の量に占める割合を表示する生鮮食品を除く。)
・研究レビューで有効性が確認された際の摂取時の形態や剤型と届出食品での形態や剤型が異なる場合において、有効性が確認された機能性関与成分の有効量の同等性が合理的に説明されない場合。

エ) 「totality of evidence」の判断(採用論文数、最終的に肯定的と判断できる要素等)が適切になされているとはいえない場合。
【例】
・バイアスリスクを著しく過小評価した論文を基に、肯定的な結論を導き出している場合。
・表示する機能性に対し否定的な結論である論文のデータを恣意的に除いてメタアナリシスを実施している場合。
・表示する機能性について総合的に肯定されるとの判断をするに至った合理的な理由が具体的に示されない場合。
・表示する機能性を支持する査読付き論文が1報もない場合。
・結果の客観性・透明性を担保するために必要な情報が示されない場合。