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機能性表示食品の動向

 今年3月に機能性表示食品制度のガイドラインが大幅に改正され、4月以降の届出受理数は大きく停滞しました。しかし9月には、そのペースは回復し累計で1,400件を超え、さらなる加速も予想されています。4月から8月にかけての公表は55品、これに対し9月は単月で63品が公表されました。今年度、目立つ成分には、GABA、HMB、アフリカマンゴノキ由来エラグ酸、ターミナリアベリリカ由来没食子酸など。GABAは相変わらず好調で、HMBも躍進を遂げています。

 一方、通算受理数が190品を超え、依然としてトップを維持する難消化性デキストリンですが、今年度の受理数は7品と低迷しています。制度4年目にして、届出トレンドに変化が起きたのでしょうか。
機能性表示食品の半分以上を占めている加工食品(サプリメント形状のものは含まない)ですが、そのうちの2割を占める成分が難消化性デキストリンです。水に溶けやすいため水溶性食物繊維として、体内で多様な生理機能を示すことが、過去の研究で報告されています。受理されている作用で最も多いのは中性脂肪低下と血糖値抑制、次いで整腸作用と続きます。

 さらにサプリメントとそれ以外の加工食品では、摂取する際の容易さに違いがあります。当然、買われ方にも違いが生まれ、飲料に含有しやすい難消化性デキストリンは、気軽に手に取れるダイエット食品として魅力を放つこととなります。ではなぜ、難消化性デキストリンは今年度の受理数を落としているのでしょうか。
 機能性表示食品制度では、コストのかかるヒト臨床試験をわざわざ実施しなくても、表示しようとする機能性を客観的に示すことのできる研究レビュー(システマティックレビュー)によって、その届出は受理されます。しかしこの研究レビューによる既存のエビデンスは、「大方使い果たされた」という見方も存在しているようです。また研究レビューによるヘルスクレームは他社との差別化が難しいため、魅力的に映らないのかもしれません。もしそうであれば、最終製品でのヒト臨床試験を選択し、オリジナルのヘルスクレームを目指すほうが賢明かもしれません。時間とお金に余裕のある大企業ではないかぎり、スマートな受理へのプロセスを考えることも非常に重要です。高額なコストに見合った大きなリターンは、その初めの一歩より起こりえます。