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健康機器分野での「トクホ」

 (一社)日本ホームヘルス機器協会が「体調改善機器制度」をスタートさせました。一般消費者には聞き慣じみのないこの「体調改善機器制度」。同協会のホームページには、制度発足の目的として「家庭向け健康機器等の安全性や機能の妥当性を審査し、一定の水準に達している機器等を体調改善機器として認定することにより、信頼と安心感によって消費者が自身のニーズに合う機器等の確保に資すること」と記載されています。また協会は、同認定事業について「トクホや機能性表示食品制度と観点は同じ」と説明しています。つまり「体調改善機器」とは健康機器版の“トクホ”という認識になります。

 日本人の健康意識が高まる昨今、トクホや機能性表示食品の市場が年々拡大すると同時に、健康機器の分野でも好調が続いています。今回新たに「体調改善機器」という新しいカテゴリーが生まれたことでその動きはさらに強まることでしょう。すでに消費者からの信頼を得ている“トクホ”と「体調改善機器」を結びつけてマーケティングすることも戦略として有効です。この新たな制度が業界に与える影響は未知数であるといえます。

 体調改善機器の申請には、「商品の機能や特徴を示すデータ」「商品の安全性を示す根拠資料」「製造工程を示す資料」「取扱説明書」といった資料を提出する必要があります。しかし、製品の効果効能を科学的根拠に基づいて示したエビデンスが優先的に審査されている訳ではありません。あくまでも同協会により認定され、法的根拠はなく、薬機法対象のいわゆる「医療機器」とは一線を画すかたちになっています。「体調改善機器」の広告で「医療機器」と誤認されるような効果効能を標榜すれば、行政から指摘処分を受けることになり、今後、制度活用を検討している企業にとっては不安となる要素も残っているようです。

 4月に公開された第1回目の審査では、申請のあった12品目のうち6品目が「体調改善機器」に認定されました。認定された品目には、認定製品であることを示すロゴマークが貼付されます。東京オリンピックを間近に大きく動き始めるスポーツ、フィットネス業界のマーケット、そこで消費者が「体調改善機器」を目にする機会も増えることでしょう。製品に添付された「お墨付き」は消費者の目に留まり、購買意欲を掻き立たせることは間違いありません。この新しいカテゴリーに商機が訪れています。