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コロナ禍における健康食品の需要

  2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大により激動の1年となりました。日本でも史上初の緊急事態宣言の発令や外出自粛要請、営業自粛要請という未曾有の事態に、皆さんのライフスタイルも大きな変化が起こったのではないでしょうか。経済への打撃も大きく製造業や観光業など様々な分野に影響を与える一方で、この新型コロナウイルスを背景にして健康食品の売り上げは好況をキープしているようです。

  米国の業界誌NBJの推計では、2020年のサプリメント世界市場は前年比9.5%増、額にして1500億ドル超と報告され、健康食品のニーズは世界規模で高まっているのがわかります。日本においても、総務省の調査によると2人以上世帯のサプリ支出は2020年1〜10月累計で前年比11%増と2ケタの伸びを示し、健康食品への注目が大幅に上昇していることが推察されます。さらに、日本通信販売協会(JADMA)の調査によると、2020年上半期の通信販売による健康食品の売上高は、1月が前年比0.8%減(124億7300万円)、2月が同比0.9%減(125億3200万円)、3月が同比2.2%減(133億2500万円)とほぼ横ばいを推移したのに対し、4月以降には、4月が同比9.9%増(141億5,500万円)、5月は同比6.3%減(130億1,300万円)、6月は同比12.7%増(141億5,200万円)と変動幅が拡大傾向を示しました。4月は緊急事態宣言が発動された月、つまり“国家的緊急事態”となった4月を皮切りに健康食品の売り上げが大きく動き始めていることを示しているのです。

  コロナ禍で身についた新習慣は生活のいたるところにまでおよび、我々は「健康維持の重要性」を再認識させられました。まずは感染症そのものを回避するための免疫力の強化。キリングループが展開するiMUSEブランドには「免疫機能の維持」が表示され、コロナ禍における話題をさらっています。他にも需要が高まるヘルスベネフィットには、外出自粛で在宅時間の増加に伴うストレスの緩和、テレワークによるパソコン作業の増加を背景にアイケアや睡眠の質の改善など、コロナ禍だからこそのヘルスベネフィットの需要が高まっており、FANCLの展開する商品、一時的な精神ストレス緩和機能を訴求した「ストレスケア」や、目の疲労感を緩和する「ブルーベリー ミエルネ」「えんきん」なども堅調な売り上げを推移しています。

  海外ではワクチン摂取が始まったものの、相次ぐ変異種の出現に未だ終息の時期が見通せない新型コロナウイルス。2020年は人々の生活様式が一変したニューノーマル元年となりました。年が明け2021年。その新たな常識の一部に「健康食品」が定着する時代に突入しています。