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第3回特定保健用食品制度(疾病リスク低減表示)検討会

消費者庁は、3/19に開催された「第3回特定保健用食品制度(疾病リスク低減表示)検討会」にて、米国・カナダ・EUで認められている類型別の表示例をベースに議論した。今後については、類型ごとの方向性、許可文言の柔軟性、申請プロセスの効率化、先行申請者の権利保護について検討を進める見通し。

■類型別表示概要
類型1.摂取量を減らすことによる表示
この類型は、「高血圧のリスクを減らす可能性のある低ナトリウム食の一部になり得る」のように、食品中のある成分の摂取量を減らすことと疾病リスクの低減の関係を表示するものである。多くの委員から、食品を通じて関与成分を積極的に摂取することで特定の保健の目的を期待するというこれまでのトクホの運用を前提とすると、この類型は、トクホの制度になじまないのではないかとの意見が出された。

類型2.現行のトクホ(疾病リスク低減表示)制度に沿った表示
この類型は、カルシウム、ビタミン D の摂取と骨粗鬆症等の疾病リスクの低減の関係を表示するものである。海外においてはサプリメントを用いた介入試験のデータがあるものの、その合成量は緯度等の様々な要因によって大きく左右されるため、海外のデータをそのまま日本に当てはめることは難しいとの意見が出された。

類型3-1.既許可のトクホに類似の表示(疾病リスクを低減する旨の直接的な表示)
この類型は、非う蝕性糖質甘味料等を含む食品において、虫歯のリスクを低減する旨を直接的な表現で表示するものである。多くの委員から、この類型を疾病リスク低減表示として具体的に検討していくことは妥当であるが、検討に当たっては、科学的根拠の確認だけでなく、消費者に対し歯磨きの重要性や当該食品の適切な使用方法等について適切に情報提供が行われることが適当との意見が出された。

類型3-2.既許可のトクホに類似の表示(疾病の代替指標の取扱い)
この類型は、疾病と疾病の代替指標(バイオマーカー)※の関連性とともに、特定の成分とバイオマーカーの関連性を表現することで、疾病リスク低減に資することを表示するものである。
※ 例:冠状動脈性心疾患と LDL コレステロール
国民のヘルスリテラシーと消費者教育に大きく貢献ができるとの観点から、「診断に用いるバイオマーカー」と「疾病リスク」の関係が「公知の事実」となっている場合は、既許可表示に定型文を付加した「疾病リスク低減表示」への一律移行を導入してはどうかとの意見があった。一方、特定の成分が疾病のリスクを低減することの十分な科学的根拠が必要であるとの意見、栄養以外の要因への注意を減らし適切に医療機関への受診を行わなくなるおそれがある等、多くの委員からこの類型については慎重に取扱うべきとの意見が出された。

類型4.対象成分が限定されていない表示
この類型は、対象成分を限定せず、果物、野菜等を含む食品について心疾患等の疾病のリスクを低減する旨を表示するものである。多くの委員から疾病リスク低減表示というよりは食育の範囲ではないか、トクホの制度にはなじまないのではないかとの意見が出された。