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人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針の解釈他(その2)

  20201年6月30日より執行された「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(新倫理指針)については、改定前の指針がより具体化された内容ではあるものの、解釈の仕方に委ねられる不明確な点があることも事実であり、特に特定保健用食品や機能性表示食品の臨床試験については、明確化されていない点も多く、厚生労働省の担当者自身も、これからの改定により、明確にする必要がある部分は多いとコメントしている。

  この状況において、何をもって食品臨床試験のサイエンスとしての品質を担保するかについての質問を受け、厚生労働省担当者のコメントは、「最終的には、論文投稿時の査読者が、当該試験の投稿の可否を判断することで、品質が担保されるもの」とのことであった。

  今回、改めて 結果の公表(6 研究終了後の対応 ― ⑵ 研究責任者は、研究を終了したときは、遅滞なく、研究対象者等及びその関係者の人権又は研究者等及びその関係者の権利利益の保護のために必要な措置を講じた上で、当該研究の結果を公表しなければならない。)について、厚生労働省担当者のコメントは、「指針はあくまで指針であり、具体的な結果公表方法の是非については、指針を踏まえた倫理委員会が判断するもの。」とのことであった。試験実施(依頼)企業のHPに結果を掲載することによる公表案について質問したところ、あくまで倫理委員会が判断するとの前提の上で、否定はしなかった。

  特に特定保健用食品や機能性表示食品の臨床試験においては、開発期間、商品サイクルの短さ等、諸事情により、結果の公表が現実的に困難な場合もあり、今回の指針の意図を理解したうえで、現実的にどのように対応するかについては、試験実施(依頼)企業の判断が迫られるところである。

◆6 研究終了後の対応(倫理指針より抜粋)
⑵ 研究責任者は、研究を終了したときは、遅滞なく、研究対象者等及びその関係者の人権又は研究者等及びその関係者の権利利益の保護のために必要な措置を講じた上で、当該研究の結果を公表しなければならない。

■ガイダンスより抜粋
⑵の規定は、研究の結果の公表について定めたものである。ゲノム指針においては研究の透明性の確保が研究者等の責務であり、研究結果の公表はその手段として例示されていた。この指針においては研究の透明性を確保するという観点から、この指針が適用される全ての研究に関して、研究結果の公表を求めている。