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「肌トクホ」から観える特定保健用食品と機能性表示食品の違い

■日本初の肌トクホ  
 ポーラ・オルビスグループのオルビスが1月1日、日本で初となる肌トクホ「オルビス ディフェンセラ」を発売しました。トクホ(特定保健用食品)とは、体の生理学的機能などに影響を与える関与成分を含み、健康増進法第26条第1項の許可を受け、その摂取により、特定の保健の目的が期待できる旨が表示(保健の用途の表示)されている食品です。つまり、肌トクホとは肌への機能がある特定保健用食品ということになります。

 ディフェンセラのパッケージには「肌の水分を逃しにくくします」と記載されており、希少性の高いグルコシルセラミドが、「インナーアクアバリア」を形成し、肌の水分を逃しにくくするというメカニズムです。

 同開発チームは申請までに6年、審査に4年、計10年の歳月をこの肌トクホの開発に費やしており、同社小林琢磨社長は、「特定保健用食品は国の認可が必要なもの。各企業の判断で行う機能性表示食品とは、根本的に違う。肌への効果を唄えるディフェンセラは、従来の化粧品と食品の境目をなくす、スキンケアの新たな形となる商品である。」と話しており、今後、同社の主力商品になる事でしょう。

■特定保健用食品より先行する機能性表示食品  
 日本初の肌トクホの販売は画期的ですが、実は肌の水分保持、乾燥緩和に関する食品は、トクホよりも先に機能性表示食品で販売されています。その届出数はすでに130品を超えており、エーザイの「チョコラ BB®リッチセラミド」や、資生堂の「飲む肌ケア」などが挙げられます。資生堂は2016年、オルビスよりも先に「素肌ウォーター」で肌トクホの許可を得ていましたが、販売までには至らず機能性表示食品の「飲む肌ケア」を販売しています。「特定保健用食品」と「機能性表示食品」。その違いは何なのでしょう。

■特定保健用食品と機能性表示食品の違い  
 特定保健用食品が、国(消費者庁)の事前審査を経て許可が下りるのに対し、機能性表示食品は、国の審査や許可は不要で、事業者の責任においてエビデンスを届け出る仕組みです。そのため特定保健用食品は莫大な投資や歳月、手間が必要であり、結果として大企業の商品ばかりが並んでいます。それに対し、機能性表示食品の届出は、研究レビューで既存のエビデンスを掘り起こすことにより、事業者自身が新たな研究をする必要がなく、費用面や時間のハードルが低くなっているのです。

 2015年にスタートした機能性表示食品の受理数は、今年1月時点で1509品、一方のトクホは27年の歴史があるなか、許可数1063品。この数字からもトクホのハードルの高さが窺えます。どちらも販売にまで至れば、事業者に大きな利益をもたしますが、中小企業やベンチャー企業は機能性表示食品制度の活用こそが勝機と捉えることができるでしょう。