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機能性表示食品 ヘルスクレームの差別化(2)

参照:業界トピックス7月「機能性表示食品 ヘルスクレームの差別化(1)」

機能性表示食品の受理件数が増える毎に、機能性表示食品として受理されるだけでは、他社商品との差別化が難しくなり、ヘルスクレームの差別化により、他社商品との差別化を図る傾向が強まっています。

機能性表示食品のヘルスクレームの差別化については、いくつかの手法がありますが、今回は「機能性に関わる体内の成分や数値の変化について、作用機序の形で、具体的な成分名、指標名を届出表示に記載する手法」について観ていきます。

届出番号:D601
商品名:シャンピニオン爽粒
届出者:株式会社リコム
届出根拠:SR(採用文献1報)

■差別化のポイント
文献の作用機序の説明を記載することで、他商品との差別化を図る。

【表示しようとする機能性】
「本品にはマッシュルーム由来ポリフェノールが含まれています。マッシュルーム由来ポリフェノールには、腸内腐敗産物として知られているアンモニア、p-クレゾールを減らすことで、腸内環境を良好にすることが報告されています。」

本品の機能性については「腸内環境を良好にすること」であり、「アンモニア、p-クレゾールを減らすこと」については、明らかに作用機序としての記載です。

これまでの機能性表示食品のヘルスクレームでは、「マッシュルーム由来ポリフェノールには、腸内環境を良好にすることが報告されています。」となるのが通例です。また、機能性表示食品のガイドラインに例示される、可能な機能性表示の範囲(1)~(3)の内、(1)に反しているようにも思われます。

(1)容易に測定可能な体調の指標の維持に適する又は改善に役立つ旨
(2)身体の生理機能、組織機能の良好な維持に適する又は改善に役立つ旨
(3)身体の状態を本人が自覚でき、一時的な体調の変化(継続的、慢性的でないもの)の改善に役立つ旨

【採用文献抜粋】
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マッシュルーム由来ポリフェノールを 0.068 ㎎/日摂取することにより、2 週間後において、腸内腐敗産物である糞便中アンモニア量と糞便中 p-クレゾール量が減少し、プラセボ群との間に群間の有意差が認められた。
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以上のことにより、マッシュルーム抽出物 50~1000 ㎎/日(マッシュルーム由来ポリフェノール 0.068~1.36 ㎎/日)の摂取により、腸内腐敗産物であるアンモニア、p-クレゾールを減少させることが示唆された。
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以上のことから、健常成人を対象とした試験において、マッシュルーム由来ポリフェノール 0.068~1.36 ㎎/日(マッシュルーム抽出物として 50~1000 ㎎/日)摂取することにより、「totality of evidence」の観点から腸内腐敗産物を減少させる効果に対して肯定的な結果が得られ、腸内環境が良好になることが示唆された。
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以上の採用文献に記載されている通り、作用機序に関しての説明の部分をほぼそのまま届出表示に記載しています。今回のように、作用機序としての表現であることが明確であればヘルスクレームとして表示が可能と考えられます。

同じ「腸内環境を良好にする」でも、作用機序の説明を記載することで、他社商品との差別化を図れるという事例であり、このような差別化を図るためには、臨床試験の設計段階で投稿論文の内容を見越したヘルスクレームの開発が必要となります。